ホロライブが韓国で爆発的に人気になった情勢分析 #論評001


今後web3の技術を活用したサービスが顕著に普及する事が確定している現在、メタバースやNFT(非代替性トークン)といった先端技術と相性が良いとされているのが、バーチャルタレントである。

NFTやweb3、メタバースは令和4年の5月頃から日本語の媒体でよく聴くようになり始めたが、いわゆるバーチャルユーチューバーは、コロナ禍になってからより全地球的(グローバル)に広まった。今後のweb3、そして相性のいいとされるバーチャルタレント情勢を分析して、業界の趨勢を読みやすくする為に、外国の事例を分析した。

今回から新連載企画「論評」を開始する。音声配信版の「都樹れいやの情報製錬所」とも連携して分析や情報、個人的見解をお届けする。

今回は、大手ブイチューバー集団「ホロライブ」の韓国国内における情勢を分析したので報告する。今後も継続して外国での情勢分析を継続していくが、今回はホロライブが爆発的に人気になった韓国を分析する事にする。

現状と要約

一言で言えば、令和3年4月に爆発的にホロライブの知名度が韓国で上がり、その後韓国でバーチャルユーチューバーブームが起きた。ホロライブの韓国における存在感は大きく、ホロライブの韓国の非公式ニュースサイト「ホロライブ韓国ニュース」によると、コラボカフェには朝から1000人以上の人が押し寄せたと報じており、尋常ではない人気ぶりが分かる。

今後はホロライブコンテンツを公式が韓国語に翻訳する、グッズを韓国国内のファンが買いやすくする為に、韓国の電子商取引サイト(クーパン等)に公式グッズ販売店舗を開設する等、ファンへの便宜を図っていくべきだろう。

知名度が上昇した理由

韓国でいきなりホロライブの知名度が上昇した理由としては、オリゴギ(오리고기)氏の貢献を挙げるのが妥当だろう。韓国で一番チャンネル登録者の多いホロライブの切り抜き氏で、主にホロライブイングリッシュとホロライブインドネシアの切り抜き動画を投稿している。

初放送からレジェンド放送事故に遭った新入バーチャルユーチューバ

同氏が活動を開始したのは令和3年4月だが、がうる・ぐらさんの切り抜き動画を投稿した途端に50万再生を軽く突破している。社会的な注目具合を可視化することができる「Googleトレンド」を確認したところ、令和3年4月末から5月上旬にかけて、いきなり検索回数が韓国で増加していることが分かる。


同チャンネルの登録者数は、令和4年8月16日時点で約18.3万人おり、百万回以上再生された動画は全部で7本存在する。平均の動画再生数が三万〜九万回程度なのでばらつきはあるものの、百万人以上の人がホロライブを認知しており、なおかつホロライブの動向を追いかけている人が十万人以上は居ると推測できる。ホロライブは公式には韓国で事業を行なっていないが、それにしてはとても多くのファンがいる状態だ。

ネタ

ホロライブイングリッシュの小鳥遊キアラさんが、ホロライブイングリッシュのオーロ・クロニーさんに対して、「母乳頂戴」(カスンウユチュセヨ)と発言して、ホロライブイングリッシュやホロライブインドネシア、韓国において注目された。ホロライブインドネシアのパヴォリア・レイネ氏も、同様の発言を行なっている

クロニーが韓国語を教えてくれるのに…この人の考えより多く知っている...

クロニーに韓国語で直接尋ねた…腹筋木琴事件...

ホロライブの反応

韓国でホロライブが爆発的に人気になっている事は、韓国に関心のある小鳥遊キアラさんやハコス・ベールズさんがよく知っており、韓国語を勉強する放送もおこなっている。この二人はソウルで行われる文化行事「ソウルポップコーン」に出演する事が発表されており、特別に韓国との関係性が深いと言えるだろう。

【KOREAN WITH KRONII】Korean 101 with Onni!

≪STUDY STREAM≫ Revising Korean!

また、キアラさんは記事執筆時点で韓国を旅行中だ。ソウルから雑談放送をおこなっている。

【SEOUL NOW】Lets Talk, if it works..!!!

そして運営会社の反応だが、韓国のホロライブファンが増えた事で、韓国でも大々的にイベントが開催された。ホロライブが爆発的に人気になった事で、韓国のファンを看過できなくなったものと推測される。しかしコラボカフェのグッズの在庫が十分だったとは言い難く、今後もグッズの供給体制は改善を続けるべきだろう。


博衣こより氏も韓国でのイベントについて触れている。同氏について韓国では、研究者=博士=大学(大学院)教授と連想出来る事から、博士や教授といった呼び方が完全に定着している。

アニプラスのニュースに触れて韓国ファンを集めるこより!

主要媒体

この記事では最も有名な韓国のホロライブの切り抜き氏としてオリゴギ氏を挙げたが、それ以外にも数十人の切り抜き氏が活動している。その中の一人に、はたち氏がいる。この方は日本メンバーの切り抜き動画も多く投稿している。

また、英語や日本語、インドネシア語が分からない人にとって大いに役に立つのが、ホロライブ韓国ニュースという非公式ニュースサイトだ。運営者兼開発者の方がお一人で更新されている。とても役に立つのでおすすめだ。

総評

総評としては、既にかなりの数のホロライブファンが韓国におり、外国語を理解する有志が積極的にコンテンツを翻訳して提供している段階にある。とくに情勢分析や趨勢を把握するのに当たって重要視したい点は、オリゴギ氏がホロライブを広めた点、画期的なホロライブ韓国ニュースの活動である。

オリゴギ氏が翻訳を開始する前は、上記のグーグルトレンドの統計通りあまり知名度は無かった。しかし同氏の活動開始後は検索数が底上げされている。動画媒体の持つ影響力と、先行者優位性がよく示されている。

ホロライブ韓国ニュースの画期的な活動内容も注目しておくべきだろう。同サイトの画期的な点は、まさに言語の壁を超えて情報を届ける場を提供している点だろう。日本国内では、あまり外国語で発信されている情報を訳しているサイトは存在感が無い。日本では公式で情報が提供されているので環境が異なるが、外国の情報や趨勢を追いかける熱意が足りていないように見える。

今後の方向性としては、公式に韓国のファンへ向けての情報提供、手軽にグッズを購入できる様に販路を整える、韓国のブイチューバーとの交流や行事への参加斡旋が挙げられる。グッズは購入者の負担が抑えられるよう、韓国国内の電子商取引サイトを利用するのが一番望ましい。

将来的に正式にタレントを揃えて韓国に進出するのも、とても確実な選択肢だ。ただしホログラ等の公式コンテンツの韓国語への翻訳すら行われていない現状では、基礎からしっかり固めておくのが大事だろう。

そして韓国のファンの熱意は想像以上で目を見張るものがあった。外国語を学び外国の情報を熱心に収集する姿勢は、自分も見習うべき点だった。可能性がある楽しいものにはできるだけ早く関心を持ち、時間を使って情報を集め、経済的にも時間的にも投資をしっかりして、先入観なく理解して詳しくなる姿勢を何十年も保つ。これこそが、この一連の分析から学び取れるものの本質であり、web3時代を先駆者として生き抜く上で持たなければならない気概、姿勢なのだろう。
都樹れいや

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